2017年2月17日(金)、ナディアパーク「コード」にて開催。

テーマは、「どうしたら農家になれるか?/農業に参入できるか?」
 
先月に続いて、農業をテーマとしました。11名参加。
集落営農を実践しているHさん、趣味の営農?を実践するAさん、相続した実家の農地で毎週末「営農」修行中のKさん、またN大学農学部で農業経済学を専攻するYくんも参加。専門的な話と素っ頓狂な話が交錯して、刺激的な時間を過ごすことができました。

問題意識は、以下のとおりです。
  • この先、長寿命化がさらに進み、おそろしく長い高齢期を年金や公的支援に頼らずに生きていかざるを得ない時代がやって来る。
  • その対策としては、「たくさん貯金する」、「生涯現役でずっと働き続ける」、「高齢期の生活水準/生活コストを下げる」などが考えられるが、実際にはどれも厳しい。
  • 70代、80代になっても働き続けるためには、「現役時代から、必要となる知識やスキルを蓄え、人脈を作っておく」ことが重要だが、多忙でストレスフルな日常の中で、そんな余裕はない。
  • しかも、世の中の進歩はものすごく速い。
  • こうした背景から、「農」の可能性に着目してみる。
  • 農地の取得や企業の参入障壁の緩和、販路の多様化など「農」を取り巻く周辺環境は、好転の兆しが見えてきている。
  • しかし、「農」に取り組むに当たっては、これまでは「営農」か「趣味・生きがい」の二者択一で捉えがち。前者は非常にハードルが高く、後者は高齢期の問題を一部しか解決しない。
  • そこで複雑研では、先入観や世間の常識を捨てて、別の選択肢、新たな可能性を考えてみたい。
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まず、それぞれの経験談(里芋に甲虫の幼虫がもぐりこんで売り物にはならないが、食べる分には問題ない話。富士市では柿が豊作なのに浜松では不作だった話、などなど)に花を咲かせ、実がなった後、色々な話題(虫?)が飛び交った。以下、順不同で紹介します。
  • ローテクと思われがちな農業だが、品種改良、遺伝子組み換え、ゲノム編集などはハイテクの領域である、なんていう専門的な話。
  • 農薬や化学肥料なしでは作物は育たないというプロの意見。その理由のひとつは、今の作物はそれらの使用を前提に品種改良されているからか?
  • それに対して、改良されていない原種やそれに近い品種は強いが、市場では選ばれない。やはり市場では甘くて大きくて見た目の良い作物が好まれる。一方、伝統野菜は原種に近い。量は少ないが高く売れる。
  • 「橙」は生食に不向きなので、たぶん品種改良などまったくされていないのではないか。お供え用くらいしか用途がないが、マーマレードには最適で、アロマセラピー用の高級な精油が取れる。
  • 民間の農業大学校は、フルコースで年60万円。
  • 農家は、普通、農作業の記録をノートに付けている。(そういえば家庭菜園していた父もそうだった)
  • IoTを活用した農業経営管理が登場したという話。
  • 富士通の「Akisai(秋彩)」、トヨタ自動車の「豊作計画」の紹介。
  • 農業は経済だけで語るべからず。半分は文化、そして哲学である。まさにAgri-culture也。
  • 東京ライフスタイル農場?の事例紹介。
  • 世界遺産「石見銀山」では田舎暮らしを売りにしている話。
  • 農家に分宿して農作業を経験する修学旅行がある。
  • エッセイスト・画家、玉村豊男さんのワイナリーの話。http://www.villadest.com/
このあたりで林より、ひとつのビジネスモデル(仮説)を提示。
  • 農家になりたい人たちで成り立つコミュニティが農園を保有する。
  • それぞれの家が異なる作物を育て、自家消費しつつ、コミュニティ内で物々交換する。これにより、まず生活コストの削減ができる。消費税も所得税もかからない。
  • そのうえで、収穫した作物を使って農家食堂・レストランを運営。これも基本はコミュニティのメンバーが利用するためのものだが、外からのお客さんも受け入れる。来訪客には、収穫した農産物や加工品を販売し、収穫体験なども提供する。ここらでそれなりに現金収入を得る。
  • 一般の市場への農産物の販売はしない。
  • ・・・こんなモデルが成り立つか?
最後に星野さんより、 暖めているアイデアを披露。
  • 素人が農業に参入するのを支援する方法として、トラクターによる耕作などは農機を持っているベテランの人が有償でやってあげて、それ以外の軽作業を素人が好きなようにやれるモデルができないか。
  • この方法で、 平地と涼しい高原の両方で農場を持つ「渡り鳥農業」をやってみたい。
・・・ふたつのアイデアをミックスすると良いかもしれませんね。

以上

続いて恒例の宴会へ。9人で入れる店を探して金曜夜の栄をうろうろ。なかなかいい店をみつけましたが、どこらあたりだったか記憶が曖昧。たぶん二度と行けないと思います。

M. 林